初心者がITエンジニアに就職する時に確認した方が良い事。それって本当にエンジニア職ですか?

 

僕はエンジニア派遣会社で現在事業開発と採用活動に注力している。

自社ではJavaでの開発をベースとしたエンジニアが所属しており、未経験~経験者まで幅広く募集しているのだが、経験者で開発ができるエンジニアがなかなか採用できない市況感の為、ポテンシャルが高い未経験者を採用して研修を3ヶ月程度行っている。

 

ネット上ではWeb業界やエージェントから否定が激しい業界で仕事をしてるが、求人広告を見てると職種未経験者を自社で採用してエンジニアへ育成する派遣企業はweb系と比較しても圧倒的に多いと思う。

 

最近同業他社の若手からの応募が増えてきたので、求人広告を経由して未経験からITエンジニアへ就職・転職を考えている人に注意した方が良い企業の特徴を伝えたいと思う。面接を受ける時に担当者に確認してみてほしい。ただ客先で作業する事についてはどこも一緒だと思うので割愛する。

 

■求人の募集職種について

求人広告の掲載でITエンジニアと1職種での記載がある場合、定義が曖昧すぎる為、

選考時にエンジニアの内訳について質問した方が良い。既に自分の中でエンジニアとしてどのような仕事をするかなど漠然とイメージがある場合には必須だと思う。

 

例えば、面接先のエンジニアの「スキルベース」だ。

開発系エンジニアが中心でスキルベースがJavaPHPなど統一されているようであれば、かなりの確率で同じスキルの開発業務に関わる事ができる。インフラ系もLinuxサーバー構築やDBに強みがある企業であれば同じように関わる事ができる確率が高くなる。同じスキルを持っている人が多いと派遣と言っても先輩が後輩に業務を教えるという習慣が浸透している企業が多い。反面、幅広く手掛ける企業は、技術系の方針が個人の裁量に任せる事が多く自社の社員同士で同じ業務に関わる事が少ないのとスキルもバラバラだ。経験者であれば良いが、経験が少ない人にとって自社からのサポートを得られる機会が少ないのは厳しい環境だと思う。

 

■ITエンジニア職のキャリアプランがどのようになっているのか

 

次に面接先が定めているITエンジニア職の「キャリアプラン」は確認した方が良いと思う。若手の時はヘルプデスク、PMOサポートからスタートして徐々に開発系エンジニア、インフラ系エンジニアへステップアップを目指せると説明する企業(大手メーカーは除く)は「手に職」を付けたいと漠然と考えている人は止めた方が良いと思う。いつエンジニアとして働けるかが分からないからだ。

 

初期配属がエンジニア職でなければ入社した企業でエンジニア職としてキャリアを積む事は難しいと考えた方が良い。サポート系に配属されたらその経験を活かした仕事の依頼は増えるが、経験のない職で引き合いが来る事は少ない。会社も社員が仕事につかない状態を防ぎたい為、営業が経験のある職で仕事をすることを勧める事が多い。

 

サポート系は企業としても売上が低く、エンジニアと比較しても価格交渉がしにくい為、昇給もすぐ頭打ちになり、年収400万は届かないと思う。実際に面接した人達でサポート系の経験者もいたが、年収200~300万中盤程度の人が多く、若手だと手取り15万以下という人もいた。

定期業務など自動化される可能性が高い業務の場合、AI・RPAなどが担当する領域になるようにも感じる為、将来的に転職にも苦労する。

 

ITエンジニア職に応募するのであれば、開発orインフラ系に特化した企業の方が入社後に大きなギャップがないと思う。サポート系はエンジニアと言って良いのかわからない。

 

■研修をしっかり行っているのか

求人広告を見ると各社「〇ヶ月の充実した研修」があるとアピールしている。 まず最後までしっかり技術研修が実施されるのか、研修内容を確認してほしい。普通の企業であれば面接時に研修風景も見学させてくれ、教育担当者が少し時間が取れたりすると簡単な話が聞けると思う。企業によっては研修よりも実務経験を積んだ方が吸収が早いという理由で途中で研修を切り上げる企業もある。自社の先輩社員がいるプロジェクトであれば業務のフォローもしてもらえると思うので良いと思う。

 

個人的に疑問に感じた研修は、自分の好きな技術を社内で自学するという企業だ。

※僕の会社へ入社した若手が前に所属していた企業で直接聞いた話。

社内には営業と事務のみで技術を知っている人がいないらしく全て自己解決しないといけないらしい。結局、本屋で売ってる技術本を使い1ヶ月間勉強していたそうだ。開発系エンジニアで入社したはずが、半年間でインフラ運用業務とCADを使う業務と全く関係ない配属になったらしい。研修中と配属が決まらない時期は社保に入れてもらえなかったそうだ。

 

他にも最近、自社の営業と応募者から聞く機会が増えたのだが、研修中は家電量販店で働きながら技術研修を半年程度行うという企業もあるようだ。名目はコミュニケーション力の強化らしく、業務外や休日に技術を学ぶらしい。この時点で何かおかしく感じる。 ブラック企業の経営者が知ったら取り入れたいと思う内容だと思う。研修期間中から売上に貢献してくれ、さらに安い賃金で働いて育成コストを最小限に抑える事ができると思う。ITエンジニアを目指しているのであれば、販売職では学べないエンジニアとして必要なコミュニケーションを技術研修で学ぶべきだと思う。

 

■結局どのような会社が良いのか

当たり前の事ではあるが、研修中から給与が払われ、実務経験のあるエンジニアが教育者として選任で研修を行っている事が前提になる。会社都合で研修を途中で止め、配属先に行くのではなく最後まで技術研修をしっかりやりきる会社が心理的に安心できると思う。

 

インフラ系だと1ヶ月程度が多く、CCNALinux系の資格を取らせる企業も多い。業務経験がなくても資格を持っていれば受け入れるという企業も所々ある。開発系は理解度にもよるが未経験者は2ヶ月以上集中して学ぶ環境がないとプログラミングの基礎は定着しないと思う。

 

新卒者の場合、入社前からリモートで技術研修を行う企業もあるが研修中から進捗に応じて手当が支払われるかなど見極めた方が良い。大企業を除き、新人教育のコストを削る企業は主観になるが、金払いの悪く長く働いても昇給が乏しいと思う。

 

ネット上では、SierからWeb系への転職を促したり、フリーランスを勧める記事やアフィリエイターが多いが端的な情報を鵜呑みにせず良く考えて判断してほしい。転職は最終的に自分の責任になるので良い情報のみで考えず客観的に判断してほしい。